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神の使いが来た日

 朝・・・いや昼前まで思う存分寝坊し、のろのろと起きた日曜日のお話です。
 家の呼び鈴が鳴ったので兄が出たのですが、戻ってきて「お前指名」とのこと。はて? 名前も名乗らず私を指名する客とは一体誰ぞや? 考えられるのはクルマのセールスさんあたり。買いもしないのにディーラーの人と仲良くなっちゃうことが多かったのですが、しかし最近それもないしなぁ。。。

 玄関を開け、外に立っていたのは私と同年代くらいの背広姿の男。う~ん、ますますセールスさんっぽいな。ニッコリ笑って「猫田(仮名)です」とのこと。んん? 猫田(仮名)なんてセールスの人いたかなぁ・・・曖昧に笑っててもしょうがないので、「すみません、どちら様でしたっけ?」と訊ねました。こんな漫画のようなセリフを喋る機会が来るとはね^^;
 そしたら「xx書店で一緒だった猫田(仮名)ですよ」と、変わらずの笑顔で答えるじゃないですか。xx書店での猫田(仮名)・・・お? おぉぉ?! おぅおぅおぅ! いたいた。私が大学1年の時に、一緒に働いたバイト仲間ではないですか。なんでも市川市内の知り合いのところに来たついでとのこと。いやー、ビックリだ。20年以上ぶりですぜ。

 私は大学の4年間を書店の契約社員で過ごしまして、そのお陰で授業にもロクに出なかったため(一般教養は片手に数えるくらいしか出席せず^^;)、結局大学には5年居つくことになりました(苦笑)。今考えると、真面目に授業に出て研究室に残りたかったなぁと思うのですが、一方で書店の4年間で得た知識は、以後の社会人生活を泳ぎ回るのに非常に糧になりました。
 何せ、扱う商品はありとあらゆるジャンルの知識を詰め込んだ書籍です。一般常識や流行のみならず、ビジネスや理工学、美術・建築といった専門分野も、深くは知ることは無くとも入り口に立つくらいにまではなれるのです。これは本当に後の人生の役に立ちました。

 そんな思い出深い時間を共有した仲間ですから、ひとしきり当時のトレンドや職場の人たちの話で盛り上がりました。書店は今Amazonをはじめとしたオンラインショップに押されており、大変苦境に陥っています。私のいた大手チェーンも例外ではなく、都内の一等地にあった店舗群は半分以下に減り、一緒に働いていた社員の大半が辞めていったようです。
 そうした辞めていった人たちも、結局出版社や取次といった出版業界に留まったり、あるいは家業を継いだりと、それぞれの人生を歩んでいるのだとか。懐かしそうに猫田くん(仮名)が色々と教えてくれました。


 それにしても猫田(仮名)くん、よく当時の人たちのことを覚えてるよねぇ。君は二ヶ月しか働いていなかったのにねぇ・・・・・・ん? んんん??


 あまりの懐かしさから柄にもなく舞い上がってしまいましたが、冷静さが戻ってまいりました。わずかな期間しか働いていなかった彼が何故こんなに当時の人を覚えているのか? 何故それらの人の消息を知っているのか? そして何より20年以上の時を経て何故彼は私の元にやってきたのか?
 しっかりしろ、俺! 訪れた目的をなかなか言わず、長々と馴れ馴れしく昔話を続けるこのパターンはアレしかないじゃないか!

 我に返った私は、『書店を辞めた後の彼』に話題を転じてみました。
 なんでも彼は大学に戻ってスピードスケートの選手になったそうです。ところが、その練習中に首の骨を折るアクシデントに遭ったのだとか。もう助からないと医者からも言われるまでの事故だったのだそうです。
 一命は取り留めたものの、首の骨ということで後遺症がヒドく残ったのですが、ゼミにいた先輩にアドバイスをもらって、やがて全快したのだそうです。曰く「南無妙法蓮華経の題目を唱えてみよう」と。。。


 あぁ、やっぱりコッチ系かよ・・・思い違いであってくれという私の望みは打ち砕かれました。いや、油断した私が悪いんです。何度かこういう目に遭ってるので、昔の私なら「用件は何?」とまず訊ねる冷静さがありましたが、今の仕事に疲れているのかな・・・夢や希望に満ちていた頃の話でコロリとウカれてしまう心の隙があったのでしょう。
 しかし、なんだろうなぁ、この空虚感は。本人にしてみれば大事なことでしょうけど、私から見たら「こんなことでしか人との繋がりを持てないのか?」と、ちょっと哀しくなりました。あぁ、空はこんなに青いのに、、、

 もう、こうなると後は「どの段階で話を切るかな」ということに思いが終始します。笑顔の彼が延々と続けるご利益話を話半分に聞きつつ、話の切り方をシミュレーションしていました。
 まぁ当たり障りなく「ごめん、否定はしないけど自分はそういうのはやらないとことに決めてる」と、柔らかく、しかし断言する方向でジ・エンドとするべ・・・と脳内で決めかけたその時です。奴は言ってはならないことを言ってしまいました。

 「いや、こないだの東北地震があったじゃないですか。あの時ウチでお題目をやっている仲間は、一人残らずみんな助かったんですよ。これも信心の賜物ですよねぇ

 ・・・おい。そういう言い方はやめてくれ。
 つまり、なにか? 犠牲となった人たちは、信心が足りなかったから助からなかったのか? 普段の行いが悪かったと言いたいのか? 君の言う御仏とやらを信仰していなかったからだとでも言うつもりか?

 穏やかに済ますつもりだったのに、キレてしまってこのままの言葉を彼に投げつけてしまいました。そして、決して短くはない私の人生ですが、生まれて初めて来客者に対して「帰れ、二度と来るな」という言葉を発してしまったじゃないですか。


 本来、私自身は「他人が信仰を持つこと」に異を唱える考えは全くありません。それが本人の心の拠り所であるならば、他人がとやかく言うべき話ではないからです。
 しかし、同時に「他人に自分の信仰を勧めること」に関しては、非常にセンシティブな問題と考えます。ともすると、自分の考えを他人に強要することになりかねないからです。本人は良いことと信じてのことであるというのが、尚のことタチが悪いんです。
 裏返すと、今回の話のように自分の価値観のみで世界を見てしまい、他人の立場を思いやることのできない狭隘な考えに陥りがちで、言いたくないですが寛容さに欠ける多くの新興宗教にはこの傾向が強くてウンザリしてしまいます。
 ここらへんの話は、広げるとありとあらゆるジャンルにまで至ってキリがなく、しかも結論は出ないので、このあたりで切り上げますが、他人への寛容さを欠きながら全人類の平和を望むという滑稽な矛盾を抱えた「信仰」というものの可笑しさを、哀しいまでに味わっていまった日本晴れの日曜日でした。
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Comment

うわぁ・・・

大変でしたねぇ。
久しぶりの知り合いとかだと、懐かしさが先になって、つい油断してしまいますよね・・・。
私の時は中学の同級生でした(しかも二人がかり!)。
久々に遊ばない?という連絡を受けていったら勧誘されました。
最初は近況報告とかだったのですが、だんだん胡散臭い方向に。
経文?を貰って朝晩読むだけで幸せになれるとか、人間の中にある8つの門を開けるとか、理解不能なことを延々と聞かされましたっけ。
もう地元に帰っても、恐ろしくて同級生とは連絡取れないですよ。

それにしても、地震の事を勧誘のネタにするなんて最低ですね!

『神道は心の羅針盤、宗教は学問』

 大学のサークルを辞めた後になって、同じような勧誘(自己啓発)をされました。
 当時は「でもカネ取るんでしょ?」の一言で全て撃退。
 経済学部出身の実にイヤラシイ方法でした(笑)。

 ああ、俗物・・・。

微妙なネタでしたが、、、

ブログって当たり障りないこと書いていた方が賢いと思うので、今回のネタは言わずとも良いことを書いてしまったような気がしますが、まぁたまに毒が出るのは勘弁して下さい。基本は黒いので(苦笑)。

本文で『「信仰」というものの可笑しさ』なんて書いてしまいましたが、山や川、草木やかまどに至るまで全てのものに神が宿るという日本古来の民間信仰ってのは好きなんですよね。
ギリシア神話や北欧神話なんかもそうですけど、日本人には多神教的な考え方の方が風土に合っていると思います。

●うずらどん
二人がかりってのはタチ悪いね^^;
私の場合、同級生ではあったものの、そんなに親しかったわけではない・・・という人間ばかりでしたが、そちらはどうでしたかね?
まぁ親しかったわけではなかったとしても、中学時代の同級生ってのは一番多感な頃の付き合いですから、裏切られた感は更に強いでしょうね。

本文でも書いた通り、本人は「善いことをしている」って感覚なのが困りモノなんですよね。震災のネタにしても、信じきってるからこそのことでしょう・・・って、なんで私がフォローしなきゃなんねーんだ?^^;

コメント続き

●化け猫先生
宗教って、学問としてはこれほど面白いものは無いと思うんですよね。最後でチラっと触れましたが、政治経済・社会学・民俗・スポーツ・国際情勢全てに至るまでカバーしますからね~。

>イヤラシイ方法
本質が俗物的な相手ですから、実際のところ俗物的な対応が一番でしょう。
それこそ真面目に教義に対して反発したら泥沼ですからね^^;
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Author:猫提督
PCやクルマ等のイジり、それにビールと深夜徘徊を愛する。酸いも甘いも辛いも何でも食うロクでなし。

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